【岡山】東京


岡山にある喫茶店「東京」さん。

歴史のある喫茶店ながら堅苦しくなく、
週刊誌や雑誌を読んだりおしゃべりをするのにも良い喫茶店です。

それにしてもお店にいると逆毛が立ちそうにもなるこの豪華な雰囲気はどこから来るのでしょうか。
椅子、琺瑯引きの掲示、壁そして手すり。
歴史の積み重ねがお店の各所に重厚さと安定感を与えているようにも感じられます。

こうしたクラシカルな荘厳さは名曲喫茶ならではの雰囲気だと思います。
現在のマスターの先代がこのビル(その名も東京ビル)を建てたのは1958年のこと。

その当時「東京」という場所は政治や経済の中心であるだけでなく
文化や思想、流行の中心地でありました。

東京が日本の中心であるという考え方は今も根強いですが、
現在ほど交通網が整備されていなかった当時は、
地方の人々にとって東京は憧れの存在であると同時に、心理的にとても遠い場所だったようです。


たとえばこちらのお店が出来た頃、東京は最も速い移動手段でもまる一日かかる
「遠きあこがれの地(ディスタンシア)」でした。
(現在では新幹線で3時間位で到着します)


朝一番の列車に乗って次の日の朝に到着する場所。
あるいは夜行列車に揺られて体が凝って痛みだしてやっと辿りつく場所だったのです。


そんな憧れの街にも負けない喫茶店を作ろう! 
と先代が思ったのが喫茶店・東京さんのはじまりです。

内装、吹き抜けの階段にシャンデリア。
破格のお金と手間がかかっています。


スピーカやアンプなどについても、もう現在では造れないものばかりで
故障した時には修理用の部品を探すのにも一苦労だそうです。


多くの人が集まる岡山の街。その街中にこんな素敵な喫茶店があることがうれしい。
そして何より、こうした東京さんのような近現代のバロックスタイルを守り続けるお店が
今日も多くのお客さんで賑わっていることを大変うれしく、心強く思います。


今日もこのお店が岡山の「東京」でありますように。








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