【新田】ツネ

純喫茶を好む方は大きく二つに分けることができる。


1.いわゆる「純喫茶世代」の方 現在50歳代を中心とし70歳以上の方
2.純喫茶世代ではないが純喫茶の世界が好きで追い求めている30代半ばよりお若い方


前者は喫茶店ブームだった1970年代当時に学生ないしは社会人として
純喫茶を待ち合わせの場や商談、リラックスタイムを過ごす場所として使っていた方。
現在は壮年期は過ぎたもののゆとりある人生を送っている。
豊かな時間を過ごす場として若いころから慣れ親しんだ純喫茶に今でも足を運んでいる。


後者は喫茶店ブームをリアルタイムでは経験しておらず
物心ついたときには身の回りにドトールやファミレスやマクドナルドがあった。
大衆はそれらチェーンやフランチャイズの飲食店に向かう中
純喫茶にある「一軒ごとに異なる個性」や
(創業当時は時代を先取りしていたが現代から見ると)クラシック-古典的-なたたずまいに魅かれて
純喫茶を好んでいる。


前者にとって純喫茶は生活の一部でありいつもそばにあるもの。
(自宅から近いことが多い)同じ店に何年も通っている。

後者にとっては純喫茶は好きなもの。趣味に近いかもしれない。
各地にある純喫茶を回遊する。



前者と後者が入り交じって純喫茶が続いていく助けになれば
こんなに嬉しいことはない。



純喫茶保存協会の活動がその一助になれたら。そう思います。





さて新田という街には「前者」の方が多く集うお店がある。
常連さん達が肩を並べてカウンターにいる。
明るく元気なママさんを巻き込んで楽しそうに会話をしている。

奥のボックス席では家族連れのお客さんが伴に膝を向けて歓談している。


それぞれが思い思いの時間の過ごし方をしている。
ママさんはカウンターのお客さんと笑いながらも他のお客さんへの気配りを忘れない。
多くの店がそうであるように、このお店もママさんの優しい空気に包まれている。


お店の入り口にある銅版は横幅2メートルを越そうかという大ぶりなもの。
開店当時、銅版職人さんが二人がかりで仕上げたものだとママさんが教えてくれた。
歳月の慈雨にさらされて今では緑銅が味わいぶかい深みをたたえている。
この銅版を見に遠くから訪れる物好きな方もいるそうだ。


天井に埋め込まれたスピーカーの格好良さやバランス良く配置された席は
お店に対する愛と敬意がひしひしと伝わってくる。


実はツネのママさんは新田の商店会長の理事長だ。
溢れるエネルギーは生来のものかもしれないが、
ツネという店の素晴らしさの理由の一つにママさんの包容力とリーダーシップがあると感じた。



この街も変わっていく。
ツネに訪れるお客さんも少しずつ変わっていくことだろう。
永遠に変わらないものはないけれど、こうして豊かに時間を積み重ねられるなら
変わっていくことは怖いことではない。美しく素晴らしい人生だ。






純喫茶保存協会・オフィシャルtwitterアカウント

https://twitter.com/junkisser

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