【網代】かぼちゃ


網代駅前にある喫茶店だ。
かぼちゃさん自体もかなり古くから駅前に構えていらっしゃるが
昔この場所には「田園」という喫茶店があった。
伊豆出身の40代くらいの方なら誰でも知っているであろう、
伊豆半島で幅を利かせていた純喫茶チェーンだ。

網代の隣の駅である宇佐美や熱海にも支店があった。


時代は流れ、網代の田園さんも経営者が変わり今に至る。
その間もずっと地元の学生や若者、そして観光客を受け入れてきたのだ。

上記の文章を書いていた時に、かつて感じたインターネットの弱点を思い出した。




以前とある事情により日中戦争時代の満州国について調べたことがあった。
インターネットで情報を検索し、図書館で文献をあさったり
当時のことを知る方やそのご親族に直接お話をうかがったりした。

するとその時代(1930〜1940年代の話)の情報について、
インターネットで入手できる情報が驚くほど少なかったのだ。

当初は機密性の高い情報が多いため何所にも情報がないのかと思っていたが
図書館では紙媒体の資料になっている情報がかなりあったし、
多くの方が知っている事実でもインターネットには全く記述がないことがあった。


当り前のように紙媒体になっている情報がインターネットでは見つからなかったのだ。


「過去の情報」についてインターネットに記載してあるのは
古くともせいぜいがところ1990年代のものではないかと思う。
書物や紙に書かれた文献として存在している情報でも
インターネット上にはないことがままある。


その理由の大半は、情報の保有者がインターネットと接点がないということではないだろうか。

「接点がない」とはつまり
①インターネットのやり方がわからない
②故人である
ということだ。


情報や記憶を持ってはいてもインターネットに情報を残す術がない人は
お年寄りであればあるほど多いだろうし
今日ほどインターネットが台頭する前にすでに亡くなっている方の持っていた情報は
永遠に闇の中に閉ざされている。

先述の伊豆半島の喫茶チェーンのことについても
インターネットには無い情報だ。
これだけインターネットが発達して扱う量が増えると
世の中のすべてのことが自宅のリビングに居ながらにして手に入る気がしてしまう。
だけどそれは間違いだ。


インターネット上の情報は膨大で今も1秒ごとに増え続けているが
世の中にあるすべての情報は、そのインターネット上の情報よりも遙かに多い。

どれだけインターネットが普及しても、
直接どこかに出かけて人に会い、誰かから聞いたり、
その場所にだけ残されている情報を読んだり見たりすることでしか得られないものがある。


そんなことを、喫茶店かぼちゃに寄せて思う。







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