【新御徒町】中屋
「追憶の先にあるもの」
初めて行く商店街の入口に立つと本当にワクワクする。
この先にどんな店が連なっているのだろう。
人々のどんな暮らしがあるんだろう。新しい発見はあるのかな。いやあるに違いない。
そして歩き疲れた時に入る喫茶店はどんなお店かな。
この日もそうだった。
上野駅から少し歩いたところにある商店街の入口に立って商店街の喫茶店に思いを馳せた。
ましてやこの佐竹商店街は日本で二番目に古い商店街。
いやが上にも期待は高まる。
歩きながら軒を見回せば履物屋に仏壇屋、モードショップにブティック。
知らないうちに身の回りから消えていった「あの頃」がそこにはあった。
だけど何より嬉しかったのはその向こうに「明日」があるように見えたということ。
あの頃が懐かしい、あの時代はよかったね… そんなセンチメンタルな感傷に浸るのもいいけれど
懐かしむだけで終わりなら何んにもワクワクしない。
感傷に浸るために純喫茶に行っているわけじゃあないんです。
今この世界が忘れかけそうなものがそこにはあって、
そこで元気をもらったり素晴らしい出会いを経たりしてまた「今」を生きていくのだ。
これまでに行ったどの純喫茶も古さや懐かしさを売りにしている所なんてなかった。
どの店もパワフルで、「今」を生きていた。
たまたま歴史が積み重なってしまっただけ。
匂い立つような歴史の雰囲気はあるけれど、きっと数年後も同じように営業しているのだと思った。
きっとこれからも佐竹商店街は続いていくんだろう。
中屋さんははじめ現在のご主人のお父様が洋菓子店として開いた店だ。
しばらくしてから喫茶室を併設して今に至る。
今では日本に5台しか残っていないゲーム機のテーブルを見るために
遠方からやってくる物好きな方もいるらしい。
店売りのかすてらをこちらの喫茶室でいただくこともできる。
佐竹商店街の洋菓子店といえば、このお店。
このあたりで知らない人はいない歴史ある名店だ。
帰り際に近くの白鴎高校の生徒の一団が商店街を闊歩していた。
さっきまで年配の方が多く行き交っていた通りだ。
日が傾いて、気づけば彼らの下校の時刻になっていたようだ。
きっと君たちがおじいさんおばあさんになった頃もこの商店街は続いているよ。
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