【駒沢公園】芝生

純喫茶が好きで日本中を旅している話をしていると
しばしば『一番の名店はどこ?』 と聞かれる。
心当たりはいくつもあるが、これまでのどの店も素晴らしい店だった。
そこに優劣はなくただ温かい空気だけが 在った。

世界で一番の名店は自分で決めればいい。
ただ何となく行きたくなってしまうのがあなたの、あなただけの名喫茶です。


だけど少しだけ考えてみるなら、
良い喫茶店というのは案外近くにある喫茶店のことなのかもしれない。
家の近くにあって、何かのついでにふらっと入ってはぼうっとしたり
店の人と話して豊かな時間を過ごす店。
お店を出て外の空気を吸った時、さあがんばるぞと思える店は間違いなく良い店だ。
皆さんの相性の良い喫茶店が見つかりますように。


幸福は日常の中にある。


こんなお店が家の近くにあったなら。
そう思わせてくれる店が駒沢にも一つ。



駒沢公園は「東京」そして「時代」を映し出す鏡。
というのもこの公園は1940年(戦前)に行われるはずだった幻の東京オリンピックの際に整備され
戦後1964年にやっとオリンピックの会場として使われたという歴史がある。


公園の西門を出てすぐのところに素敵な喫茶店ひとつ。

芝生だ。
通りに面して大きく窓がとってあり、天気のいい午後は陽光が優しく射し込む。
地下にある喫茶店には地下ならではの良さがあるし
建物の2階や3階にある喫茶店には階上ならではの良さがあるが
こんなふうにして太陽の光を感じられるのは通りの1階にある喫茶店が持つ魅力の一つだ。


窓際の席でコーヒーに反射する日差しを楽しむのもいいし
少し離れた席から陽光に照らされる店内を眺めるのも楽しい。


お店を切り盛りするママさんはありふれた店だなんて謙遜するけれど
もし本当に何でもない店だったらこんなにも常連さんに愛されはしない。
ありふれた所に幸福は溢れるのだ。


この店の持つ幸福感の材料の一つが、ママさん自身の存在だということを付け加えておきたい。




純喫茶保存協会・オフィシャルtwitterアカウント

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