【大橋通】皇帝

「逃亡犯 -後編-」


まさか警察がこんなにしつこいとは思わなかったぜ。

うずしお号の中で乱闘になるとはな…


流れに流れてたどり着いた高知の街。
どうでもいいが俺は路面電車の走っている景色が好きだ。


気がつけばモウロクジジイ(もう六時)か。
疲れてきたしここらで休むとすっか。

「喫茶 皇帝」… 高松の商店街の店もそんな名前だったような気がするが…まあいい。
俺は喫茶店が好きなんだ。



皇帝といえば暴君ネロか。

皇帝ネロは好き勝手に暴虐の限りを尽くした挙句、非業の死を遂げる…か。


まるで俺の生き方だな。こんな生き方を選んだのは俺だが、あの時はこれしか選べなかったんだ。




カバンの中の逃走資金もだいぶ減っちまったな。

だけど俺を捕まえるなんざ100年早いぜ。次は九州だ!


逃げきってみせるぜ、ラスト・エンペラー。






〜フィクション劇場「逃亡犯」〜 おわり。






※筆者の補足
茶店「皇帝」は元々は四国を地盤としたコーヒーチェーン店でした。
「ゆったりした空間で音楽を聴ける」というコンセプトで四国の広い地域に展開していましたが
20年近く前にチェーンの親会社が解体となりました。
しかし解体後も何店舗かは名前とそのコンセプトを引き継ぎ今も元気に営業しています。




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