【豊島園】シャモニー
一つの鉄道の駅ができるということはその町を大きく変えてしまう可能性がある。
良い面でも悪い面でも、である。
ここ豊島園は遊園地として長年賑わってきましたが
最近は少しそのにぎわい方に変化が起こりつつあります。
いま豊島園の東南口には温泉があります。
平日もさることながら土日は家族連れやアベックのお客さんが大勢います。
朝から晩までずっといられる仕組みがうけているのかもしれません。
ここにはもともと料亭がありました。
バブルが崩壊したときに一時客足も少なくなり、料亭をたたみました。
その後(駐車場として放置された期間を経て)ボウリング工事を行い見事温泉を掘り当てて開業したのです。
といっても関東のここいらでは1000メートルも掘ればほぼ確実に温泉に突き当たるそうなので
半ば確信のあった興業ではあったのかと思います。
こうして客層や業態を少しずつ変えながらとしまえんは今日も営業しています。
向かいにあるこちらのシャモニーさんは40年以上豊島園の変遷を見守り続けているお店です。
スイスのモンブランのふもとにあるシャモニー村は
静かな町ですが四季を通して登山のため人々が訪れる活気のある村です。
人々のいこう場所になりたいという思いから名付けられた店名の通り
長年通い続けている常連客の方や温泉の帰りにふらっと寄るお客さんなど
さまざまな方に広く開けているお店です。
昔は西武線しか通っていなかった豊島園駅ですが、
数年前に大江戸線が開通し、人の流れも大きく変わりました。
近くで買い物をしていた人も少し足を延ばせば電車一本で新宿までいけるようになりました。
駅と駅の間に住んでいた人はラッシュで混みあう豊島園駅を避けるようになりました。
どこかで便利が起こればどこかで不便が生じている。
どこかが有名な観光地になればどこかの観光地がさびれてゆく。
そんなゼロサム社会の中にあって、
これほどまで長く続いているシャモニーさんのような存在は奇跡と呼べるのかもしれません。
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