【日立】ウイーン

地名が先なのか、企業名が先なのか。



企業名と地名が同じ下の3つの中で一つだけ仲間はずれがあります。

・愛知県豊田市
茨城県日立市
・東京都渋谷区恵比寿







それは「日立市」です。
豊田市と恵比寿はそれぞれトヨタ自動車ヱビスビールから来た名前ですが
日立市はまず地名があり、企業が地名を頂いたという歴史があります。


トヨタ
かつて豊田市は「挙母市(ころもし)」という名前でしたが
企業城下町になりつつあった1959年、「豊田市」に改名しました。
ちなみにトヨタの本社住所は「愛知県豊田市トヨタ町1番地」です。


ヱビスビール
恵比寿は元々「下渋谷」という地名のビール出荷用の貨物駅でした。
一般用の駅が造られる際にビールにちなみ「恵比寿」と命名されました。



日立製作所
創業者の小平浪平が日立の鉱山に電機修理工場を造ったのが始まりです。




茨城を含む北関東は古事記の昔から常陸(ひたち)と呼ばれていましたが
日立市常陸の中心ではありません。

日立市をつくる時に、太平洋から日が立つ(昇る)様子を「常陸」とかけて
「日立」という字を使うようになったと言われています。


ちなみに「常陸」の語源は「ひたなる道(=平らな土地)」から来ています。
山岳や谷地の起伏が少ない関東平野らしい名前ですね。








そんな日立にあるウイーンさんはとても素敵なお店です。
道路に面した小窓ではアイスクリームを外売りしていたり、
長いあいだ地元の人々に愛されているお店です。

客層はやはり比較的高めです。
実感としては日立市の人口平均年齢48.7歳よりも少し高めに感じます。
それだけの時間人々から親しまれているということでしょうか。
このウイーンさんの近くには他にも素敵な喫茶店がありますが
いずれも日立にこんな素敵なお店があったのかと驚嘆せざるを得ません。



日本にはまだまだ素敵な喫茶店が隠れています。
観光ガイドや雑誌の特集では東京や京都のことが多く紹介されがちですが
各県庁所在地などの地方都市にも素晴らしい魅力がたくさんあります。


現代はとても便利で、外出や旅行の際にはインターネットの乗り換え案内で
目的地への最短ルート、最短時間が簡単に導き出されます。


それは逆に言うと
「最短ルート以外のルートを切り捨てる」ということに他なりません。
目的地に最短時間で行くことがすべてなのでしょうか?
最も少ない乗換えで行くことがすべてなのでしょうか?


交通手段が多様化し地球上のどこでも気軽に行ける時代になりました。
世界は狭くなった、という話もよく聞きます。


しかしそれは出発地と目的地の点を線でつないだ場合の話です。

点と線だけでなく面で地球を把握するにはまだまだ世界は広いと思います。

たとえば最近はLCC航空の競争が盛んになっていますが、
ハブ空港になれない空港や、そもそも空港を持たない街にとっては利用者減の遠因になりかねません。



いつもより少し時間がかかるかもしれませんが
寄り道した町で偶然に素晴らしい出会いに巡り合えることもあります。




点と線だけでなく面で地球を感じて、
素晴らしい喫茶店に出会うために、より道のすすめをします。












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