【鳥取】丸福珈琲店


鳥取で50年以上営業しているお店がこちらの丸福珈琲店さんです。

元々は大坂・千日前にあるお店が色々なところに店舗を出すうち
鳥取にまでお店を出すようになりました。

本店にないメニューもありすっかり鳥取の方の生活になじんでいます。
(こちらのお店に40年以上通い続けていても千日前店には行ったことがないお客さんもいるそうです)

砂丘や、水木しげるさんの出生地である境港市など観光資源に恵まれた鳥取
内陸側から訪れるときは山麓を迂回していかなくてはいけないため
かつて大阪からは一日がかりの旅路でした。

しかし40年ほど前に高速道路や特別急行列車が出来てからは
その行程は格段に楽になったそうです。
この日も京都から来たという高校生が、城下町・鳥取の小旅行を楽しんでいました。

さて城下町として発展した歴史ある町・鳥取ですが
歴史があるということは古くから人が住みついていたということ、
人がいたということは土地にまつわる伝説・伝承も(都市部に比べれば)多く残っているということになります。

ここでは水木しげる先生にちなんで一つ妖怪の話をしたいと思います。


  〜以下、妖怪話〜


鳥取には昔から「ソンツル」という妖怪の話があります。

「ソンツル」という憑き物にかかってしまった者は動物のような仕草をして、
人間の言葉を話さなくなるそうです。
他の地方で言う「狐憑き」に似た現象のようで、これに憑かれた者がいる家は
村八分となり親戚からも絶縁されることになっていました。

この妖怪に対する解釈は幾つもありますが
一つには そういった「憑き」状態になる者(または者たち)が複数いた
ということが考えられます。
現代の医学と比較すれば疾病や脳の仕組みに対する理解は浅かったでしょうし
またそれらに対する偏見や差別も今よりずっとひどかったのだと思います。

二つ目の解釈は この「ソンツル」という妖怪を利用して誰かを村八分にしたのではないかということが考えられます。
共同体社会において、ある人物や一族をどうしても排除する必要が出てしまったとき
(やむにやまれぬ事情があったとしても)排除する側の心には傷が残ります。
そんな時、「ソンツル」に憑かれているからという理由を認識することで
儀礼的ではあっても少しでも心の傷を浅くすることができたのではないでしょうか。

こうした解釈のどれが合っているか、今はもう分かりません。
ただ願わくば妖怪が悲しい宿命を負っていないことを心から願います。


水木先生の妖怪たちはあんなにも(妖怪なのに)生き生きと活躍しているのですから。