【彦根】UCCカフェメルカード

この世には色々な縁があって、絶妙なバランスで世界が成り立っているんだと思う。


以前彦根を訪れた際に、気になる喫茶店を見つけた。
その名はUCCカフェメルカード
あの上島コーヒーの「UCC」だ。
(注※UCCは"Ueshima Coffee Corporation"の略です)


UCCカフェメルカードUCCが運営している喫茶店の業態のうちの一つ。
関東では主に「上島珈琲店」という業態が店舗数を伸ばしており
UCCカフェメルカード」は減少しつつある。

つい昨年も練馬区の江古田にあった「メルカード」が長き歴史に終止符を打った。


現在では関西で見かけることの方が多いメルカードが
彦根にもあるんだと思った。
店構えを見る限りしっとりと歴史を積み重ねた素敵なお店のように思えた。

だが悲しいかな、その日はお店の休業日だった。
窓ごしに暗い店内をのぞいても自分の息で曇るばかり。

先を急ぐ旅であったため、メルカードへの未練をずるずる引きずったまま
泣く泣く彦根を後にした。


それから約1年。
吹雪の日にやっと訪れることができたメルカードは
思っていた通り、いや思っていた以上に素敵なお店だった。


期待は裏切らずに、予想を裏切る素晴らしさ。
さしずめ「究極の期待通り」だ。


お店にお邪魔したところまず驚かされたのはそのカウンターの形。
店内中央に楕円形にカウンターが切ってあり、
右手がカウンター席で左手にボックス席がある。
ボックス席とボックス席の切れ目にはカウンターにいるマスターが
コーヒーを供する切れ目があって、マスターはカウンターにいながらにして
全ての席に目が届くようになっている。


まさに360度の支配者だ。



マスターの藤居さんいわく、一人でも店を切り盛りできるからこの形になったそうだ。
ボックス席で秘密の会話をしても俺に聞こえちゃうけどね。と明るく笑う。


他のお客さんが途切れたのをいいことに、マスターと色々なことを話させていただいた。

茶店のことや、彦根の街のこと。
さらには地元のスーパーのことや「ひこにゃん」のことも。


会話の中で、今回の旅の目的がマスターの経歴と接点があることがわかり
驚きとともに、ありがたい縁を感じた。


きっとまた彦根に来ます。
彦根に来たらまたお店にお邪魔します。
そう言って店を出た。
振り返ると吹雪の向こうで店内のオレンジ色の優しい光がちらちらしていた。
まる1年かかってしまったけれども、また彦根に来てよかった。



お店を訪問してから1か月。
マスターからメールが届いた。



彦根は、今日 よいお天気です』


そんな一文から始まるメールで急に彦根の思い出が蘇った。
マスターは純喫茶保存協会の活動を励ましてくれたり
また近くに来たら寄って下さい、と本当にありがたいお言葉を綴って下さった。


彦根と東京。交通網がこんなに発達した時代でも
物理的な距離はやはり我々を遠ざける。

しかしそんなことよりも
マスターの言葉に触れ、思う。


遠く離れた街に自分が行ってもいい場所
行ったらきっと温かく迎えてくれる場所があることは
なんて幸せなんだろう。


気持ちは、遠く離れた距離も時間も超えることがある。


そう教えてくれたマスター、ありがとうございます。
また会う日まできっと、お元気でいて下さい。





純喫茶保存協会・オフィシャルtwitterアカウント

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