【名古屋・中村区】ロビン

まぶしい愛があふれる場所があった。


きっかけは1通のコメントだった。


先週の日曜、当ブログにとあるコメントが寄せられた
http://d.hatena.ne.jp/lyoryo/20110317#c


コメントを下さったのはYumiさんという名古屋在住の方。
おじい様とおばあ様が名古屋市中村区で「ロビン」という喫茶店を営んでいらっしゃるという。
それもちょっとやそっとの長さではない。
50年以上もカウンターに立ち続けて今も現役だという。


Yumiさんには娘さん(祖父母様から見ると曾孫)がおり、将来お店をやりたい!
と言っているとのこと。


それからしばらくメールのやり取りをさせていただく中で
Yumiさんは「人との人とのつながり、心の交流の場」ということをおっしゃっていた。


ちょうど個人的にそんなことを考えていたため驚き半分、
まだ会ってもいないのに何だか気が合う人に会えたような気がして嬉しくなった。


Yumiさんはいつか名古屋へお越しの際は…とお招きして下さったが
行動を起こさなければ「いつか」は「いつか」のままになってしまう。
「いつか」ではなく「今」行くしかない。
そう思わせてくれるだけの期待の火が胸に灯っていた。


速やかにスケジュールを調整してロビンへの旅程を組み立てた。
ロビンは日曜がお休みなので、土曜日に名古屋入りして日曜にうかがうわけにはいかない。


土曜日の朝、いつもより早起きして新幹線に駆け込んだ。


目指すはロビンのモーニング。
10時半までにお店に入ろう。


2時間ほどの道中で名古屋についた。
ロビンは西口の太閤通りをまっすぐ行ったところだ。
駅前には駅西銀座という旧街道がそのまま商店街になった街並みが残っている。
早く行きたい。歩調が早まるのを抑えきれない。


ロビンを思い、気が付いたら、走り出していた。




歴史ある街並みをしばらく進んでいくと、ついにロビンにたどり着いた。
扉の向こうにはどんな世界が待っているのか。
外は午前の力強い陽光に照らされているため、店内の様子はうかがえない。



扉を開けるとそこには、優しくやわらかい時間が流れていた。


カウンターには何十年も通っていると思われる数名の常連さんが並んで座り、
スポーツ新聞(もちろん中日スポーツ)を読んだり
カウンターで忙しく立ち回るマスターやママさん(Yumiさんのおじい様とおばあ様)とおしゃべりをしたり
思い思いの時間を過ごしている。


少し離れたボックス席には喫茶店ではなかなか見かけない、若き少女が絵を描いていた。
カウンターのはじっこにお邪魔して、モーニングをお願いする。


すっかり、何ともいえない幸福感に包まれた。
こんなに豊かで優しい空気に包まれた場所が、この世界にあったのか。
これまで何度、こんなに優しい気持ちになれただろう。
あと何度、こんな時間を過ごせるだろう。



お水を運んできてくださったママさんに、
Yumiさんに呼んでいただいてやって来たことを告げると、


「まあ! 遠いところからありがとう。ゆみ〜!」


と店奥のカウンターに座っていた女性に声をかけた。
彼女がYumiさんだ。


Yumiさんの近くに移動させていただき、それからずっと色々な話をした。
娘さんとも挨拶させていただいた。


ロビンの壁には大きなメニュー表がある。
白いプラスチックのプレートは歳月の経過によって色にアジが出ている。

そしてその横には鮮やかに彩られたロビンの絵が飾られている。
Yumiさんの娘さんが描いた絵だ。



曽祖父母のお店で朝ごはんを食べる幸せ。
絵を描きながらロビンを継ぐんだ、と当たり前のように言ってくれる曾孫さんがいる幸せ。


遠い昔のいつか、誰もが当たり前に持っていて
気付かないままなくしてしまった幸せが


ロビンには あった。



ロビンに来て、本当に良かった。


Yumiさんの弟さんは今は東京で働いているが
こんなことを話したことがあったという。
「僕は土日がお休みだけど、おばあちゃん達は週1回の休みでずっと働いている。
それを思うと僕は頭の下がる思いだよ。」


本当にそう思います。
これまでロビンを守ってきてくれたマスターとママさん。
ただ時間の中に流されるだけでなく、お店を大切に守ってきてくれたのだ。
椅子や机やグラスなどお店の一つ一つのカケラの綺麗さが
大切に使われてきたことを物語っている。


長い歴史を築けたのは優しく仲の良い家族や、常連さんが力になっていたから。
Yumiさんのお母さんが、カウンターの下に隠れてしまうくらい小さかったころから通っているという常連さん。
今の仕事をやめていつかロビンを継ぐにしても、ここが一番試験が厳しいのよ。
と笑うYumiさんのお母さん。
近くのタクシー会社で働く運転手さん。
ロビンを中心にして色々な人が集まっている。
最近は常連さんだけでなく若者のお客さんも増えてきているという。



【ロビンにたずさわっている皆さんへ】
これまでロビンを守ってきてくださった皆さん、本当にありがとうございます。


これから先もロビンのことをずっと、応援しています。
また名古屋に行ったときには必ずお邪魔します!


もしも冷たい夜の路地裏で凍えている心があるなら、
ロビンの朝を目指して歩き続けてほしい。
ロビンは「夜が終わる場所」。








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